腰痛は、多くの人が経験する症状です。しかし、いったん発症すると治っても再発する人が多く、慢性腰痛になると活動制限から筋力低下まで至り転倒リスクとなります。また、ぎっくり腰を代表とする急性腰痛も転倒にかかわりのある症状です。今回は、転倒を避けるための腰痛と姿勢に関してお伝えします。
目次
どんな腰痛が多いか?
腰痛の中で疾患のないものが約85%を占めます。その中で、腰痛を発生させてしまう原因のひとつが姿勢の持続です。姿勢保持のためには、筋肉が重力に抗するためにずっと緊張していなければなりません。そのため、姿勢が持続すると緊張が緩和されず疲労し筋・筋膜性の腰痛となります。コロナウイルスの影響もあり、今後ますますテレワークや在宅ワークも増えてくると思います。しかし、長時間の座位姿勢保持は腰部に大きな影響を与えます。では、どうしたら良いのでしょうか?
姿勢の持続を回避するには?
30分に1回姿勢を変える
これです。誰でもできて簡単なことですが、意外とデスクワークなど気づいたら1時間以上経過していたなんてことはよくあります。それを防ぐためにタイマーをかけることをおススメします。どんな姿勢であっても30分間同じ姿勢をしていると筋肉は間違いなく疲労します。30分経ったら立つ・歩く・ストレッチする・歩くなど好きな方法でリラックスするなど何でも良いです。これを習慣にするだけで腰痛のリスクは減ります。ただし、姿勢を変えずに別のことではいけません。あとは、個人的に合間ではスマホを触るのは避けておいた方が良いと思います。目の疲れも姿勢や腰痛に影響を及ぼすのでおススメしません。そして座位で良い姿勢をすることでさらに腰部への負担を減らすことができます。
座位の良い姿勢とは?
デスクワーク時に気を付けることは以下のポイントです。
これら7つの点を注意することで腰部への負担は減少します。しかし、それでも筋肉が緊張し腰痛につながることもあります。そして、それが立位など別の姿勢にも影響するようになります。次は、姿勢の持続・腰痛・筋肉の関係を3つのケースで見てみます。
姿勢の持続で起こる筋肉の変化
1.良い姿勢での座位保持を頑張った時
座位を持続することで、骨盤を前傾するための筋肉(腸腰筋・脊柱起立筋)の緊張が高くなります。脊柱起立筋の過緊張が続くと筋・筋膜性の腰痛を発生しやすくなります。また、腰椎の過伸展で椎間関節症やすべり症の原因になることもあります。さらに姿勢持続が長時間になることで、反対に骨盤を後傾させる筋肉(腹筋群・大殿筋)が弱くなります。体幹・股関節における筋肉のバランスが悪くなりやすい状態です。
2.加齢により腸腰筋の弱化が起こる場合
加齢に伴う腸腰筋や脊柱起立筋の弱化により、腰痛の前彎減少と骨盤の後継を引き起こします。そして、腹筋群は過緊張、もしくは弱化します。また、ハムストリングスは短縮位となり、骨盤の前傾に抵抗します。骨盤の後傾は腰椎に屈曲ストレスがかかり、椎間板症の原因となります。それに伴い腰痛も引き起こしてしまいます。
3.デスクワーク・スマホで起こる変化
デスクワークなど、こういった姿勢の持続により、胸椎の後彎が起こります。そして、同時に頭部前方姿勢を引き起こします。座位姿勢や静的な立位姿勢では腰椎の前彎が減少し、脊柱起立筋の活動を抑制します。そして、腰椎に屈曲ストレスが生じることで、椎間板や腰椎後部の軟部組織損傷などを引き起こし腰痛の原因となります。
また、胸椎の後彎は肩甲骨の位置異常を引き起こし、肩関節屈曲・外転・外旋を制限します。それに伴い、肩甲上腕リズム、に異常を起こし、肩関節インピンジメントの原因となります。
対策とは?
基本的な考え方はこうです、
- 弱化している筋肉はトレーニング
- 過緊張の筋肉はストレッチなどで抑制する
- 生活習慣での姿勢を改善する
【弱化している筋肉】は強化します。負荷は「ちょっとしんどい」程度までを目安に行ってください。【過緊張の筋肉】は、ゆっくり時間をかけてストレッチしながら抑制しましょう。ポイントは、『反動をつけない・息をとめない。20-30秒は持続伸長する』です。日々の身体つくりです。筋肉の状態に合わせて対策をしてみましょう。
まとめ
腰痛は、誰にでも起こりうる症状です。しかし、少しの工夫で予防できます。腰痛後の転倒など二次災害につながらないためにも生活習慣の中で改善できるポイントがあれば早速実践していきましょう。